テレイグジスタンスについて考えていることまとめ②

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・人間は「能力を拡張したい」という本能を持つ生き物であり、能力の拡張は大きく分けて「脳の拡張」と「身体の拡張」の2つで、前者は勝ち組プレイヤーが決まっていて既にその先の「脳の代替(AI)」の勝負をしている。しかし後者の「身体の拡張」についてはまだ勝ち組プレイヤーが決まっていなくて、これから市場ができていく段階。
 
・本気でデカいスタートアップを目指すなら未来において巨大市場となる領域でインフラとなるところを握らないとだめだと思う。脳の拡張であるPC/スマホや脳の代替であるAIの領域は既にスタートアップが覇権を握れるような領域では無いので、身体の拡張におけるインフラを狙いに行くのが最も勝率高い。
 
・テレイグジスタンスロボットが可能にする「身体の拡張」は、事実上の「瞬間移動」と「身体の選択」の2つ。医師や教師を不足している地域に安全なまま瞬時に派遣したり、家族のもとに一瞬で駆けつけたり、家にいながら世界中を旅行したり、災害地域や事故現場での救助活動を専用ロボットの身体で安全なまま行ったりすることができるようになる。
 
・テレイグジスタンスロボットが普及する未来において最も重要となるのは、人(HMD+Haptic&モーションキャプチャスーツ)とロボットをつなぐ専用の「通信エンジン(ミドルウェア)」と「アカウントを管理するオンラインプラットフォーム(アプリケーション)」だと思う。
 
・通信エンジンは遅延が極限まで無いリアルタイム双方向通信(ロボットから人に360°の映像と触覚フィードバックデータを送信、音声は双方向、人からロボットに身体の動きのデータを送信)で、他人に身体を乗っ取られないようにセキュリティも堅牢である必要がある。また、テレイグジスタンス用のロボットを開発するロボットメーカーがHMD+スーツ用のアプリケーションを作るだけでテレイグジスタンスに対応できるよう、共通規格を定めて開発環境を整える必要がある。
 
・自前の優れた通信エンジンを持つ企業は、人がロボットにログインする際のユーザーアカウントを管理するオンラインプラットフォームを構築することができる。この点がビジネス上で最も競争力を持つと思う。
 
・ただし、このテレイグジスタンスロボット専用の通信エンジンとオンラインプラットフォームは人(HMD+Haptic&モーションキャプチャスーツ)とテレイグジスタンスロボットの仕様(双方に通信される情報の内容と規格)が前提となるため、通信エンジンを作るには同時にHMD+スーツ用のアプリケーションとテレイグジスタンスロボットを開発する、もしくは開発している企業と提携する必要があると思う。
 
・テレイグジスタンス用のロボットは、既存のAIの脳を前提にしたロボットではなく、人間の脳を前提とした設計思想のロボットを開発する必要がある。また、テレイグジスタンスロボットを制御するOSは、普段人間が無意識に行っている姿勢制御等のみ自律制御で行い、身体は人間と同期させることを前提としてアプリケーションで制御できる必要がある。
 
・脳の代替(AI)の時代を迎える上で、この先人間にとって価値が向上し続け、最後にAIが代替するものは「論理的ではない持続的な情熱」だと思う。

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