(久しぶりに)考えてることまとめ

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・人間は本能的に能力を拡張したいという欲求を持つ生物であり、現代はPCやスマホによって特に意識すること無く脳機能が拡張されているのと同じように、10年後は意識すること無く身体機能も拡張されている。身体機能の拡張の際たるものは「身体が複数あって切り替えて使用できる」ことだと思う。
 
・汎用AIについて、脳機能の拡張デバイスであるPCやスマホから収集できるデータだけでは脳機能の代替である人型ロボット用の汎用AIは決して生まれず、身体機能の拡張デバイスから収集できるデータと合わさって初めて実現可能性が見えてくると思う。
 
・汎用AIを実現させる上で最大のボトルネックになるのはデータだと思いますが、この必要なデータが収集できるようになる上で最もインパクトのある市場変化は「①人間と日常的に接するデバイスのインターフェースの次元が2次元⇒3次元になること」、「②身体機能の拡張デバイスが広く消費者に広がること」の2点だと思う。
 
・人型ロボットの汎用AIを生み出すという観点から見ると、多くの人が人型ロボットの身体に対してスムーズな歩き方やモノの認識の仕方、他人とのコミュニケーションの仕方を教え続けることほど効率が良く、価値のあるデータは無いと思う。この点が身体を増やすための分身ロボットの副次的な価値となる。
 
・脳機能の拡張で覇者となったグローバル企業は脳機能の代替である汎用AIの実現を競っていて、その方法として「データを収集できる脳機能の拡張デバイスを増やす」という戦略を取っている。ここにスタートアップが参入してもEXITはできても覇者にはなれない。覇者を目指すなら活路は身体機能拡張デバイスにこそある。
 
・脳機能の拡張デバイスで覇者となったグローバル企業は決して自身の成功体験を捨てられず、脳機能の拡張という価値の延長線上で動く。ここにスタートアップの勝機がある。スタートアップとして覇者を目指すなら、身体機能の拡張で覇者となり身体機能拡張デバイスから最もデータを収集できる企業を目指すのが最も効率良い。
 
・スタートアップとして身体機能の拡張という価値に取り組む上で最も重要だと思っているのは、身体機能の拡張という価値を実現するのに必要な技術がビジネスとしてコスパが見合うコストになっているかどうかという点。これは自分でまず全部作ってみればプロトタイプ開発費と量産機開発費の目安が計算できる。(全部作った。)
 
・身体機能の拡張の際たるデバイスである分身ロボットは、ハードウェア部分は自律制御ロボット・VR業界の進化と比例して価格が飛躍的に下がっている。ボトルネックはソフトウェアとネットワークにこそある。このボトルネックは5Gモバイルネットワークになっても解決されたりしない。
 
・5Gモバイルネットワークが世界中に普及したとして、モーションキャプチャや触覚、音等のデータはデータサイズも小さいしほとんど問題にならない。問題は、分身ロボットの”眼”として最も普及するであろう高解像度(2K以上)360°カメラの映像を遅延無くHMDに届けること。オリジナルデータのサイズも非常に大きく、既存の汎用技術で通信すると必ず大きな遅延が発生する。これが最大の問題。
(※例えばThetaSの360°ストリーミングモードで取得できるオリジナルデータのMotionJPEGデータは330Mbps。これを通常のストリーミングで使われるデータ形式であるH.264等の動画フォーマットにするとデータサイズは小さくできるがエンコード・デコードだけで体感できる以上の遅延が発生する。また、WebRTC等の汎用技術を使ってP2P通信すると解像度やFPSも下がり、やはり体感できる以上の遅延が発生する。)
 
・5Gの仕様上、5Gモバイルネットワークエリアで同一基地局内の通信、かつルーティングを経由しない通信、かつ数キロバイト程度のデータ量であれば2㍉秒程度の遅延で通信可能になるはずですが、実際上記の条件で通信できるようになるエリアは極めて限定的だと思う。
国際間5G通信においても海外のキャリアのルーティングを経由する場合はその度に遅延が発生していくし、国内においてもルーティングを経由しない(基地局と直接通信)エリアは限定的だと思うので、基地局間の通信の遅延が数㍉秒まで削減できても多くの場合端末間では遅延は発生してくるはず。また、安定して超高速な回線速度はせいぜい10Mbps以下になる。
 
・5Gモバイルネットワークは何十GBのデータを超高速で通信できる的な謳い文句だけど、その通信可能な何十GBの「回線速度」には段階があり、各国キャリアが5Gを提供した世界でどこでも超高速通信が可能な回線速度はせいぜい10Mbps以下という点を踏まえてネットワーク対応する必要がある。
 
・以上をふまえて、5GモバイルネットワークやWifi等の無線インターネット回線を前提とした分身ロボットの開発において現状最も長期的にボトルネックになり得るのは、次世代の眼となる高解像度360°カメラのデータを無線インターネット回線経由で低容量・低遅延でP2P通信してHMDに描画する一連の技術であり、弊社はここを超頑張っている。
具体的には、360°カメラにThetaS、HMDにHTC VIVEを使用し、かつ市販のWifiルーターを1つ経由するInternal Router環境下での数値だと、ThetaSのストリーミングモードの最高解像度(1280×720)と最高FPS(15)を維持したままデータサイズを平均4Mbps、遅延を平均80㍉秒(0.08秒)まで削減している。(※詳しくはデモで。)
 
・分身ロボットの通信・ソフトウェアを提供する企業はそのまま人が分身ロボットにログイン(※ロボットを特定し、通信を確立し、通信を暗号化するために必要)するためのアカウントを管理するプラットフォームを握れる。このプラットフォームを握れるかがビジネス的には最も重要。

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