今後の日本の労働社会

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アメリカと日本の働き方の違いについて、よくアメリカは個人主義で日本は会社主義である、というような記事を目にする機会が多いように思います。
確かに、2005年の国勢調査によれば、組織に属さないフリーエージェント(ここでは雇われずに働く人々(小企業の社長、フリーランスの契約社員、派遣社員、非正規労働者)の総称を指す)の数は、アメリカが3300万人であるのに対し日本は370万人しかいないという結果が出ています。これは、アメリカと日本の人口の差を考慮しても比率に大きな違いがあります。

しかし、この差は本当に文化の違いによる当初から存在した差なのでしょうか?

この点について、橘玲著「貧乏はお金持ち」に面白い記述があります。

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社プラスアルファ文庫)
橘 玲
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橘玲さんは、かつてアメリカにも会社主義は存在しており、アメリカ繁栄のシンボルだった巨大企業は家族的温情主義(パターナリズム)を当然のこととしていたといいます。
ところが1970年代、海を越えてやってきたより強力な「家族」、すなわち日本企業がその製品によって市場を席巻するようになると、アメリカの「家族」は崩壊に向かい始めます。
日本製品によってアメリカの企業は価格競争を強いられ、その結果経営は悪化し大規模なリストラが行われるようになりました。
そして、結果的に大企業のリストラによって多くの専門技術を持った社員が労働市場に放出され、その多くはフリーエージェントとなって活躍し、また後のシリコンバレーを中心とするハイテク企業の勃興を支えることになったといいます。

こうした経緯を見ると、アメリカの個人主義がフリーエージェント社会を生んだのではなく、より強力な組織に圧倒された結果、多くの社員がフリーエージェントにならざるを得なかったという歴史があるようです。

そして、今度は日本においてこの流れが生じているように思います。

つまり、日本はかつてのアメリカのように、組織自体の高い成長性によって家族的温情主義(パターナリズム)による家族的組織を維持できていましたが、より強いアジアの組織の製品が市場を席巻するようになり、日本の「家族」は崩壊の一途をたどっており、リストラによって大量の社員が労働市場に放出されています。

そして、このままいくとフリーエージェントという働き方を余儀なくされた元社員が増えていき、彼らを中心に日本でも大きなフリーエージェント社会が形成されるのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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