今後の日本の進む道

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私の好きな小説で、伊坂幸太郎著「魔王」という本があります。

魔王 (講談社文庫)
伊坂 幸太郎
4062761424

この小説の内容は、皆が政治や外交に不満を持っている日本社会に突如強烈なリーダーシップを持つ若手政治家が登場し、徐々に国民の支持を増やしていくなかで、国民全体が盲目的に同じ方向を向いている風潮に危機感を覚えた主人公が、その流れを止めようとする話でした。

この話の面白いところは、まさに現代日本の社会の流れと似通っている点です。
今、大阪では橋本市長のもと政治改革が行われており、さらには国会に進出しようとしています。
そして、その歯に衣着せぬ発言や、民間企業目線での改革、スピード感のある決断などが評価され、橋本市長を支持している国民はどんどん増えているように思います。
何を隠そう私も橋本市長を支持している人間の一人です。腐敗した日本の政治に風穴を空けてくれるのでは、と期待させてくれる橋本市長は、これまでの政治家にはない魅力があります。

ただし、この小説を読んで少し懸念したのは、日本の国民全体がそうとは気付かず偏った方向に走らないか、という点です。

日本人は良くも悪くも個人よりも全体の意見を正とする民族ですので、集団としての連帯感や団結力は世界一優れた民族であると思っています。

これは、縦割りの組織では全体として優れた能力を発揮するため、日本の近代化・高度成長を支えた大きな要因の1つであると思います。
しかしその一方で、この右にならえの文化は、それが本当に正しい判断かを個人として考えることなく、または考えても反論することなく、集団(組織)の判断を正としてしまいがちなので、強烈なリーダーシップを持つ人間が自分を支持する人間を中心に集団を作り出した場合、徐々に偏った方向に進んでも、それが偏っているという自覚無くそのまま進んでしまいそうに思います。

このまま橋本市長が政界に進出していき国民の大半の支持を得た時、仮に個々人であれば反対するであろう政策を掲げたとしても、集団としては無条件で支持し、支持しない個人は批判されるような社会になってしまうのではないかと懸念しています。

少し話がそれますが、伊坂幸太郎はこの小説のタイトルである「魔王」とは一体何を指すのかを明言していません。
国語辞典には、魔王とは[仏道修行や善事を行おうとする気持ちを妨げる天魔の王。欲界の第六天の王。人に災いを与えたり、悪の道に陥れたりする魔物]とありました。
私はこのように定義しています。まず、魔王に付き従う魔物とは、個々人の価値観や正義に則って下すであろう判断を歪めてしまう個々の意識を指し、魔王とは、それら個々の意識を造り出している集合意識を指すのだと考えています。集団のリーダー自身ではなく、集団の意見に反対してはいけないと個々の意思をねじ曲げる集団の意思こそが「魔王」なのです。

今の日本の政治の状態は決して現状維持をすべきではないと思いますので、橋本市長には日本の政治改革をやり遂げて欲しいと思っています。
そして、我々国民は常に冷静で客観的な視点を持つことを忘れずに支持していくべきだと思います。
「魔王」を生み出すのは強烈なリーダーではなく、我々国民なのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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